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営業の仕組を作れば変化に対応できる

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 個人のスーパープレーは、その営業担当一人の力量です。それによってチームや部門の業績が向上することはありますが、それだけで「提案営業力」が高いわけではありません。
 成績優秀な営業担当が管理職に昇進したとたんに業績が悪化したといった話は、これまでに少なからずあります。個人の力に頼り、組織としての提案営業力が伴っていない状態では当然のことです。

 必要なのは、組織として提案営業力を高めることであり、それが「仕組み作り」に他なりません。しかも、継続したものでなければなりません。難攻不落の顧客から、営業チーム内の連携によって受注に成功したとしても、それが1回限り、あるいはその顧客だけのことであったなら、やはり組織としての提案営業力がついているとはいえません。

 メンバーの異動や担当顧客が変わるなど、営業活動を取り巻く環境が変化に関係なく、目標を達成し続けることができて初めて、提案営業力のある組織なのです。 

 では、その「仕組み」とはいったい何なのでしょうか。

 「顧客の状況がまったくわからない人が突然担当になってしまい、また、刻々と状況が変化しているなかにあっても、次にどのような手を打てばいいのかが具体的にわかる状態」が、営業のしくみの整った状態であると考えます。
営業担当や顧客の状況変化によって業績が大きく左右されない状態です。

 この状態を作り出すためには、必要な情報を整理・記録し、誰が見ても経緯と現状、そして今後やらなければならないことが一目でわかるものが必要となります。古い言葉ではありますが、営業活動の「えんま帳」のようなものです(えんま帳については機会があれば別途ご紹介します)。

 もちろん、企業では、それに類するものがすでに存在しているはず。ですから「顧客データはコンピュータで管理され、これまでの経緯は日報の形で記録されている。今後の活動計画をまとめたアクションプランだって作った。にもかかわらず提案営業力は一向に高まらない。結局必要なのはそういった“ツール”ではなく、個人の営業努力なんじゃないか」と考える営業担当も少なくないはずです。

 ではなぜ、せっかく整えたこれらのツールが機能しないのでしょうか。

 まず考えられるのは、現場の営業担当にとってこれらのツールが、「やらされ感」の強いものになっているからでいないでしょうか。嫌々ながらやっていたのでは、そこに書かれた内容もおざなりなもの、紋切り型のものになります。それを自分から進んで積極的に活用しようという気にもならないでしょう。

 こういった場合よくあるのは、管理職やスタッフの人が、そのツールや記入シートのフォーマットを作っているケースです。営業担当に限らず、他人から「やれ」と押し付けられたものに対してはどうしても反発心を抱いてしまうもの。
 一方、現場から一歩離れた管理職やスタッフの人は「こうあるべき、こうやらなければダメ」といった理想論に走りがち。現場の実態とズレたツールが作られることもままあります。
 営業活動においては使いにくかったり、役に立ちそうもない管理用のシートを押しつけられ、しかも義務として記入しなければならないのだとしたら、やがて形骸化し、使われなくなってしまって当たり前ではないでしょうか。
 鍵となるのは、ツール類は必ず、営業担当自身の手によって作ってもらうということです。自ら必要だと思う情報を整理したり、工夫したりして作ったものなら、意識も違ってきます。

 作り上げたツールを絶対のものにしないということにも注意しなければなりません。たとえ営業担当が作ったとしても、最初から完璧なものが作れるはずはありません。それどころか、顧客によって、また、取り巻く環境によって、必要な情報や活用の仕方は異なります。A社用に作ったシートが、B社に対する営業活動にも使えるというわけではないのです。

 肝心なのは、前述のように営業活動に必要な情報を誰もが活用可能な形で記録・共有化すること。極端に言えば、記入の様式などは、案件ごとにバラバラでも構いませんし(もちろん、実際には記入のしやすさ、読みやすさなどを考え、“基本型”は統一すべきですが)、どんどん改良を加え、変更していかなくてはなりません。
 フォーマットを作ったらから使わなくてはならない……のではなく、使えるフォーマットを作るという発想が大切です。

 もう一点注意しなければならないのは、新しいツールを導入するからといって、一気にすべてをそちらに切り替えるべきではないということです。
 どんなことにせよ、今までのツールを否定するということは、それを活用していた人を否定するということにつながります。周囲にその気がなくても、本人は「俺がいままで苦労して頑張っていたのに、急に変えられたら台無しにされてしまう」と危機感を抱いて当然です。
 新しいツールや、それを使ったやり方を導入するのであれば、これまでいろいろとやってみたがどうしてもうまくいかない案件や、まったく新規の案件にするべきです。
 目的はあくまでも組織としての高い提案営業力の実現であり、単純な過去否定や表面だけの刷新ではないことを忘れないでください。

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・第3期 B2B提案営業強化講座
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